- 2018.1.30
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子宮頸がん予防情報
HPVワクチン接種はHPVの口腔内感染の予防にも有効か?
出典:Chaturvedi, AK, Graubard BIら. J Clin Oncol 2017. doi: 10.1200/JCO.2017.75.0141.
アメリカの若者(18~33歳)においてHPVワクチンによる口腔内HPV感染予防効果が示された
将来の中咽頭がん予防効果に期待
要旨
- 近年他の先進国と同様にアメリカでもHPVが原因となる中咽頭がんが男性の間で急激に増加している。本研究ではHPVワクチンが口腔内のHPV感染にどれだけ効果があるか調べた。
- 今回18−33歳の男女2627人においてワクチン接種とHPV感染の有無を調査した。
- その結果18.3%がワクチンの接種を26歳までに1回以上受けていることがわかった。しかしその内訳は女性29.2%、男性6.9%であり男性のHPVワクチン接種率は低かった。
- ワクチン接種済みのグループと未接種のグループでHPV16/18/6/11の感染率はそれぞれ0.11%, 1.61%と大きな差があり、性別、年齢、人種に基づいて調整するとワクチン接種によって、88.2%もHPV感染を減らす効果があることがわかった。
- さらに男性のみで同様のことを調べると、感染率は0%(接種あり)と2.13%(接種なし)で、同様に大きな効果を示すことがわかった。
- しかし現在HPV感染リスクの高い若年男女のワクチン接種率は極めて低く、特に男性ではわずか6.9%にとどまっている。
- ワクチン接種によって、中咽頭がんの原因となるHPVの感染率を減少させることができ、将来的に中咽頭がんを減少させることが期待されるため、早急に接種率を高めていかねばならない。
ポイント
グラフに示した通り、現時点でHPVワクチンを接種している人数はごくわずかであり、接種率が増加することで、口腔へのHPV感染率を劇的に減らすことができる。アメリカは、現在男女の定期接種に9価HPVワクチンも導入しており、将来のHPV関連がん予防に力を入れている。