- 2018.1.24
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子宮頸がん予防情報
ワクチン接種はHPVの関連する浸潤がんを予防する
出典:Luostarinen T, Apter D,ら. International Journal of Cancer 2017; doi: 10.1002/ijc.31231.
フィンランドの研究で、HPVワクチンを接種した女性ではHPV感染に関連した子宮頸がんや外陰がんなどの浸潤がんは発症していなかった
HPVワクチン接種がHPVの関連する浸潤がんを予防することが明らかに
要旨
- フィンランドで行われたHPVワクチンの臨床試験の参加者の長期的な経過観察により、浸潤がんの発生率を検証した。
- 3つの臨床試験のワクチン接種者と非接種者のその後の浸潤がんの発症率を2007年6月~2015年12月の7年間、フィンランドがん登録を用いて検証した。なお、この3者のうち2002~2005年に行われた2つの臨床試験では、HPVワクチン接種から10年後のフォローアップ時点で、子宮頸部上皮内病変(CIN3:高度異形成と上皮内癌)に対する予防効果が明らかになっている。
- 期間中に観察されたHPVワクチン接種者は65,656観察人年、ワクチン非接種者は124,245観察人年であった。(解説:観察人年とは、ある集団の病気の発症率などを明らかにする場合に、観察期間が異なる場合が多いために用いられる手法である。1人が7年間観察できた場合には7観察人年、1人が5年であれば5観察人年となり、各参加者の観察人年の合計に対して、何人の発症者がいたかを調査し、本研究では発症率を100,000人当たりの人数で示している。)
- HPVに関連した浸潤がんの発症はワクチン接種群では0人であったのに対して、非接種群では、子宮頸がん8人(発症率6.4%/100,000人、以下%のみ記載)、外陰がん1人(0.8%)、口腔咽頭がん1人(0.8%)の計10人(8.0%)の浸潤がんの発生が認められた。ワクチン接種の有無により有意に差が認められた。
- HPVに関連のないがんの発症に差はなく、ワクチン接種群:非接種群で乳がん2人(3.0%):10人(8.0%)、甲状腺がん1人(1.5%):9人(7.2%)、黒色腫3人(4.6%):13人(10.5%)、黒色腫以外の皮膚がん2人(3.0%):3人(2.4%)であった。
- HPVワクチン接種がHPV感染を予防すること、HPV感染ががんの発生にかかわっていることは既知の事項であったが、HPVワクチン接種が浸潤がんを予防することは今回初めて証明することができた。
ポイント
HPVワクチン接種開始より10年以上の年月を経て、ワクチン接種がHPVの関連したがんの発生率を有意に低下させることが明らかになった。