- 2018.1.9
-
子宮頸がん予防情報
2009-2014年における18-59歳のアメリカ人女性のヒトパピローマウィルス感染率の変化
出典: Berenson AB, Hirth JM,ら.Obstetrics and Gynecology 2017; 130: 693-701.
アメリカの若年女性のHPVワクチン接種率が増え、非接種群のHPV感染率も下がっている
米国における18-26歳の女性の集団免疫の利益が明らかに
要旨
- 2009-2010年と2011-2012年、2013-2014年においてHPVワクチン接種群と非接種群の腟内のHPV感染率の変化を調べた。18歳から59歳女性のHPV感染率を、18-26歳、27-34歳、35-44歳、45-49歳の4年齢層に分類し、ワクチン接種後の時間の経過で検証した。この対象者の種族、婚姻の有無、性的嗜好、飲酒歴、マリファナの使用率など背景に差はみられなかった。
- 感染の有無は、自己採取式のHPV検査を行い、HPVワクチン接種の有無については自己申告とした。このため、思い出しバイアス(思い出しの正確さの差異によって生じる測定の不確かさ)が存在している可能性がある。
- 2009-2010年は、2290人の参加対象の中で2244人(98%)が参加し、1970人(87.8%)が自己採取式のHPV検査を行い、1955人(85.4%)がHPV型判定に適正の結果が得られた。2011-2012年は2062人が対象で、1995人(96.7%)が参加し、1772人(85.9%)がHPV検査を行い、1767人(88.6%)が適正であった。2013-2014年は2230人が対象で、2164人(97%)が参加し、1995人(92.2%)が検査を行い、1985人(91.7%)が適正であった。総計5707人がHPV検査を受けたこととなる。
- 18-59歳の2013-2014年の罹患率は、2009-2010年に比して明らかに減少していた。この低下傾向は18-26歳の年齢層が最も顕著であった。18-26歳のワクチン接種者ではワクチンがカバーする型であるHPV6型、11型、16型、18型の罹患率は、2009-2010年の3.9%から、2013-2014年の2.0%と低下していた。18-26歳のワクチン非接種者でも、2009-2010年の19.5%から2013-2014年の9.7%へと顕著な減少を示した。26歳以上の非接種者の年齢層では、HPV罹患率は顕著な変化はみられなかった。
- アメリカの18-26歳女性のHPV非接種者におけるHPV感染率の低下は、HPVワクチンの集団免疫効果の利益を得ていると考えられる。
ポイント
アメリカの経年的なHPV感染率の変化を追った疫学調査で、オーストラリア(2017.9.12の最新学術情報記事参照)に引き続き、HPVワクチン接種率が高い若年層ではワクチン接種群も非接種群もHPV感染率が下がり、集団免疫効果が得られていることが証明された。