- 2017.11.17
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子宮頸がん予防情報
9価HPVワクチンの有効性と安全性:ランダム化2重盲検試験
出展:Huh WK, Joura EA, Luxembourg Aら.Lancet 2017; Sep 5. pii: S0140-6736(17)31821-4.
9価ヒトパピローマウイルスワクチンが子宮頸がんの90%を予防する
6年の持続的効果とその安全性を証明
要旨
- 2007年9月~2009年12月の間に様々な地域から無作為に集めた16-26歳の健康な若年女性14215人に9価HPVワクチンと4価HPVワクチンを無作為に約半分ずつのグループに分けて接種した。
- 9価ワクチン接種グループでは、これまでのワクチンには含まれていなかったHPV 31, 33, 45, 52, 58に関連する子宮頸部中等度ないし高度異形成(CIN2, 3)や上皮内腺癌や子宮頸癌のリスクが、4価接種グループに比べ97%減少した。
- 同様にHPV 31, 33, 45, 52, 58に関連する子宮頸部細胞診異常についても4価ワクチンを接種したグループに比べ約95%リスクを減らすことができた。
- 9価ワクチン接種グループでは、HPV 31, 33, 45, 52, 58型の6か月ないし12か月間の持続感染リスクも96%減らすことができた。
- HPV 6, 11, 16, 18型によって引き起こされる子宮頸部病変(中等度ないし高度異形成、上皮内腺癌、子宮頸癌)の罹患リスク、細胞診異常のリスク、12か月間のHPV持続感染リスクはいずれも4価と比較し遜色ない効果が得られた。
- 因果関係を問わない重篤な有害事象は全部で7例あり、4例は9価ワクチン、3例は4価ワクチンの接種者で,どちらかのワクチンに偏りのある差はなかった。そのうち3人はワクチン接種から3年以上が経過した例であった。死亡例でワクチンとの因果関係が疑われるものはいなかった.
ポイント
9価ワクチンの効果は6年間持続することが証明された。9価ワクチンが普及すれば世界中の90%の子宮頸がんを予防できる可能性がある。
付記:
- 9価ワクチンは9種類のHPV(6, 11, 16, 18, 31, 33, 45, 52, 58型)抗原を含む
- 4価ワクチンは4種類のHPV(6, 11, 16, 18)抗原を含む。
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