- 2019.2.21
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子宮頸がん予防情報
日本における子宮頸がんの動向
Yagi A, 他.Cancer research 2019: 79: 1252-1259
地域がん登録データを利用した疫学的・臨床的解析
~大阪府がん登録データから見えた子宮頸がんの現実~
要旨
- 大阪府がん登録データを用いて日本における子宮頸がんの動向を解析したところ、子宮頸がん罹患率は2000年を境に有意に増加しており、特に腺癌では30歳代以下の若年層で一貫して増加していることが判明した。
- 子宮頸部のみにがんが限定されている「限局性」の症例において、相対生存率は近年改善されている一方、若年層では放射性治療の奏効率が低い傾向にあることが判明した。
- これらの結果は、今後の子宮頸がんの予防・治療戦略の策定に重要な知見となる。
ポイント
- 日本では、子宮頸がん検診受診率は非常に低く、またHPVワクチンの積極的勧奨は一時中止されて5年間以上が経過している。子宮頸がんによる将来の罹患率や死亡率を減少させるために、日本における子宮頸がんの疫学的傾向を理解することは重要と考えられる。
- 本研究では、1976年から2012年の間に登録された大阪府がん登録のデータを利用して、子宮頸がんの組織型別、年齢層別、進行ステージ別、治療法別の罹患率を解析した。解析結果から、10万人あたりの年齢調整罹患率は1976年から有意に減少していたが、2000年以降は増加に転じていることが観察された(図1)。
- 子宮頸がんのうち、特に発見が難しく治療が奏効にしにくい腺癌が、30歳代以下の若年層で一貫して増加していることが分かった(図2)。
- サバイバー生存率を調べた結果、診断から1年生きることができた場合の5年生存率、診断から2年生きることができた場合の5年生存率と生存年数が進むにつれ、サバイバー生存率は有意に上昇した(図3)。
- がんの進行ステージ別に調べてみると、子宮頸部に臓器に限定される「限局性」および隣接する臓器にがんが広がっている「隣接臓器浸潤」の症例では、10年相対生存率が2003年以降に著しく改善していた。これは、同時放射線化学療法(CCRT)の導入によってもたらされたと推測される。
- 「限局性」の症例において、治療として手術が行われた群では年齢による相対生存率の違いは見られなかったが、放射線を含む治療が行われた群では、若年層では相対生存率が低い傾向にあった(図4)。
- これらは、今後の日本での子宮頸がんの予防・治療戦略の策定に重要な知見となる。
http://www.med.osaka-u.ac.jp/activities/results/2019year/yagi-ueda-201902