- 2019.1.31
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子宮頸がん予防情報
約3000人の日本人男女に行った大規模アンケート調査で明らかになった事実
Suzuki Y, 他.J Obstet Gynaecol Res. 2019: 45:994-1005
一般男性は一般女性に比べヒトパピローマウイルス(HPV)や子宮頸がんに関する知識が低く、予防意識も明らかに不足している!
男性はHPVやその予防についてもっと知る必要がある。
Q4 子宮頸がん検診では、がんとがんになる前の状態(前がん病変)を発見することができる(正解:はい)
Q5 性交渉の経験があっても、20歳代であれば子宮頸がん検診の必要はない(正解:いいえ)
Q7 性経験が、がんを引き起こすリスクのある発がん性のHPVの感染に関係している(正解:はい)
Q11 現在、日本ではHPVワクチン接種の公費助成はまったく受けられない(正解:いいえ)
医療者:医師、看護師、助産師、薬剤師、臨床検査技師、他の医療従事者、医学部生、看護学校生、その他の医療系学生
医療者:医師、看護師、助産師、薬剤師、臨床検査技師、他の医療従事者、医学部生、看護学校生、その他の医療系学生
要約
- HPVワクチン接種率がほぼゼロの状態になってしまっている日本において、今後の効果的な啓発を行うために、HPV関連疾患に関する日本人の知識や意識の実態を明かした。
- HPVが原因となる病気を予防するため、一次予防(HPVワクチン接種)、二次予防(子宮頸がん検診など)を推進することが世界中で重要な課題となっている。
- 2015年から2016年にかけて横浜市、東京都、大阪府、新潟県で16歳以上の男女を対象に、全20問のマークシート式のアンケート調査を行った。
- 幅広い参加者を募るため、横浜市内企業7社、学校の授業、横浜駅付近のイベントスペースでの2回の調査を含めて計21回のアンケート調査を実施した。
- 男女3,033人が参加し、39%(1,182人)は男性であった。
- 医療関係者以外を主な対象としたこれだけ大規模なアンケート調査は他になく、貴重な日本人のデータである。
- HPVに関すること、子宮頸がんのこと、HPVワクチンのことに関する計11問の知識を問う設問すべてで男性は女性よりも顕著に正答率が低い結果であった。
- 一般女性は一般男性に比べて、子宮頸がんやHPVに関して約3.9倍も高く知識を持っていた。
- HPVワクチンの効果と有害事象について、一般女性は一般男性に比べてそれぞれ2.5倍、3.9倍高い認識を持っていた。
- 娘に対してHPVワクチンを接種することに前向きな姿勢を示したのは全体の約40%だった。
- 一般女性は一般男性に比べて、娘へのHPVワクチン接種に消極的であったのに対し、男子へのHPVワクチン接種についてはより前向きな姿勢を示した。(つまり男性は娘に対するHPVワクチン接種について、女性よりも前向きである。)
ポイント
- 日本人の男女に対して行った大規模アンケート調査で、男性の知識・認識不足が明らかになった。HPVは性別に限らず感染するため、性別に限らず知識や予防意識を持つことが重要である。
- 男性は女性よりも娘へのワクチン接種に関して前向きな姿勢を示しており、男性へのアプローチが日本のワクチン接種率回復への一つの糸口となり得ると考えられた。