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2017.10.7
子宮頸がん予防情報
HPVワクチン接種率の急落~日本におけるHPVワクチンの存続の危機
出典: Hanley SJら. The Lancet誌 2015;385:2571
積極的接種勧奨中止の影響
HPVワクチン接種率はほぼゼロへ
札幌市での調査によると、HPVワクチン接種が公費接種として無料となってから積極的な接種の推奨が中止されるまでの期間では、実に7割強の女子が規定通り3回の接種を行っていた。しかし、ワクチン接種後の有害事象が問題となり、ワクチン接種の積極的勧奨が中止されてからは、その接種率は急落しほとんど0%になってしまった。
日本では子宮頸がん検診受診率は約30%と低く、検診のみで子宮頸がんの発生を予防するのは困難である。ワクチン接種率が下がってしまうと、子宮頸がんの罹患率・死亡率を下げる機会を失ってしまうことになる。
同じようにワクチン接種後の有害事象が問題になった国では、ワクチンの安全性が公的に表明されているが、日本の行政機関はワクチンの安全性をはっきりと表明していない。それに加え、ワクチン接種後に生じた有害事象で日常生活が困難になってしまった人たちは、HPVワクチンを非難している。特にメディアや政府の対応から、ワクチンと有害事象の関連に対する不安が大きくなり、この問題を加熱させている。
結果的にワクチンが安全で有用だとしても、科学的根拠がないといわれているにも関わらずワクチン接種後に生じた有害事象の問題ばかりが広まり、このワクチンの使用が中止されてしまうことは、大きな損失になりかねない。
ポイント
札幌市の状況から、HPVワクチン接種への国の接種勧奨中止の影響をいち早く世界に知らせた論文である。科学的な意見が反映されなくなり、ワクチンの使用が中止されてしまうことに警鐘を鳴らしている。
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