第3回班会議(公開成果報告会)議事録

投稿日:13.03.03 / category:お知らせ(一般向け) 議事録

 

平成24年度 がん臨床研究事業
厚生労働科学研究費補助金 H23-がん臨床-一般-001
「地方自治体および地域コミュニティー単位の子宮頸がん予防対策が
若年女性の意識と行動に及ぼす効果の実効性の検証~宮城班~」

第3回班会議(公開成果報告会)議事録

日時:平成25年2月23日 土曜日 14時00分~16時00分
場所:杉田劇場 リハーサル室
〒235-0033 神奈川県横浜市磯子区杉田1丁目1−1 045-771-1212 

出席:宮城,水嶋,元木,岡本,助川,坂梨,岩田,新井,安藤,佐藤,時長,上坊,沼崎,加藤,佐治,オブザーバー学生,事務局(内山,小山),一般参加者6名,
欠席:平原,金子,森田,田栗

■はじめに:研究代表者からの連絡
■成果報告
(各演題 プレゼンテーション15分,質疑応答5分)

 

1.子宮頸がん発症年齢の若年化の検証に関する研究(水嶋春朔 研究分担者グループ:元木葉子)

神奈川県悪性新生物登録事業(神奈川県地域がん登録)のデータを用いた,神奈川県内の子宮頸がんの罹患と死亡の状況の実態調査を行った.対象は1985年から2010年の25年間でありこのデータによれば1985年以降子宮頸がんの罹患は増加し,特に40歳未満の女性における浸潤がんの罹患数増加があった(20~39歳における1985~89年の浸潤子宮頸がん数338例から,2005~09年の426例に増加).また子宮頸がんによる20代・30代女性の死亡数,年齢階級別死亡率は全年齢層に占める割合は低いものの1985年時と比較し増加していた.神奈川県産科婦人科医会による婦人科悪性腫瘍の集計報告は神奈川県内の産婦人科施設での治療数を集計しており,この報告でも子宮頸がん(上皮内がん含む)の罹患数の増加があった.がんの罹患と死亡のデータは,2013年1月から国47都道府県と1市(広島県)での地域がん登録が開始されたことと,地域がん登録関連法案の法制化が現実的になってきたことで,今後大きく発展することが期待される.

質疑応答:なぜ若い世代の子宮頸がんによる死亡率の上昇が起こっているのか?→若年者の子宮頸がん罹患数や死亡数の実数はほかの世代に比較し少ないので,死亡率に反映されやすいことと,少子高齢化で若年層に属する世代の人数が減っていることも理由の一つであろう.

 

2.神奈川県における子宮頸がん検診に関わる個人履歴把握の実態についての研究―子宮頸がん検診についての市町村担当者アンケートから―(中山裕樹 研究分担者グループ:加藤久盛)

昨年度の「子宮がん検診、子宮頸がん予防ワクチンについての市町村担当者アンケート」の集計から,子宮がん検診の受診率向上には『個別勧奨・再勧奨』が貢献することがわかった.今年度は,個別勧奨・再勧奨を行うために必要な『個人の検診履歴の管理』の神奈川県内の市町村における現状についての実態調査を行った.個人検診履歴把握に対するアンケート調査を神奈川県内の33市町村の検診担当部署に行った(郵送法,回収率91%(30/33)).検診開始年齢は調査対象の自治会全てで20歳以上であり,毎年検診を行っているのは70%,女性特有のがん検診推進事業(いわゆる無料クーポン券事業)未受診者への個人通知(再勧奨)を行っていたのは30%であった.また,通常検診について対象者に個人通知を行っている自治体は57%である一方で,通常検診未受診者に対する個人通知(再勧奨)を行っている自治体はなかった.通常検診未受診者に対する個人通知(再勧奨)を行っていない理由は,予算不足・人員不足・受診者リストの未整備などであった.

 

3.政令指定都市 横浜市・相模原市における子宮頸がん予防対策とそのアウトカムについての研究概要(平原史樹 研究分担者グループ:沼崎令子

 政令指定都市であり多くの人口を有する横浜市・相模原市における子宮頸がん予防対策の現状分析比較(子宮頸がん行政検診の受信状況の比較,女性特有のガン検診推進事業の分析)を行った.横浜市と相模原市では,一次検診における検診間隔(横浜市は2年に一度,相模原市は毎年)・受診方法(横浜市は「受診医療機関へ直接問い合わせる」,相模原市は「がん検診受診対象者への受診券一斉配布による通知」),受診者の負担金額に差異があった.精密検査の受診勧奨を,相模原市は行っているが(精密検査受診の有無を確認するアンケート送付),横浜市は行っていなかった.平成22年度における年齢階級別の通常検診受診率の状況を見てみると,50歳未満までの年齢層では横浜市が相模原市よりも高く,50歳以上では相模原市のほうが高くなっていた.これは両市の人口年齢構成の違いに起因すると考えられた.20歳以上の年齢層で,相模原市のほうが横浜市よりも要精者の検出率が高く,また精検受診率も高かった.両市ともに20歳から40歳からの無料クーポン券配布は受診者数の増加に結びついており有効であった.さらに,HPVワクチン公費接種については,横浜市75.6%,相模原市71.2%と高い接種率を示している.更なる接種率増加のために,個別受診勧奨に加え再受診勧奨などを行うことで高い接種率の維持につながりうる可能性が示唆された.

質疑応答:無料クーポン券配布が20代から40代の女性の検診受診率増加にどの程度関与しているのかというのは調査できるのか?→今後の課題であるが,無料クーポン券がきっかけの受診者の比率によっては,この方法の有効性の評価ができるので期待したい.

 

4.横浜市立市民病院がん検診センターにおける子宮頸がん検診の若年受診者増加への取り組み~平日検診と土曜検診の比較~(平原史樹 研究分担者グループ:時長亜弥)

横浜市立市民病院がん検診センターでは,子宮頸がん検診の若年受診者増加を目的として,就労や育児などのため平日の医療機関受診の困難な世代のために1か月に1度「土曜検診」を行っている.2006年4月~2011年3月までに横浜市立市民病院がん検診センターで子宮頸がん検診を受診した16619人の受診状況(受診人数,受診曜日,受診者の年齢層,要精検率,子宮頸がん検診初回受診者の割合,要精検者年齢分布,子宮頸がん(上皮内がん含む)発見率,子宮頸がん発見時年齢)について調査し考察した.土曜検診受診者は前述のすべてで平日受診の群よりも異常発見率が高く,『土曜検診』は『受診のしやすさ』から,20~40代女性の女性のニーズに合った検診方法であることが示唆された.

質疑応答:土曜検診のほか,平日夕方~夜も受診ニーズがあるのでは?→その可能性はある.開業医や検診センターなどと連携した受診環境の整備も,子宮頸がん検診受診率向上には必要であろう.

 

5.女子大学生の子宮頸がん予防と行動に関する研究-定点モニタリングのデータ解析,2011年度との比較-(大重賢治 研究分担者グループ:助川明子)

 女子大学生は年齢的にも,またセクシャルデビューの機会の増える世代としても,子宮頸がん予防に関する知識を持ち行動に結び付けていくことが必要である.横浜市内2大学で昨年度から行っている子宮頸がん・HPVワクチン・子宮頸がん検診に関するアンケートを今年度も実施しデータを比較分析した.HPVワクチンに関する施策の対象年齢であった2012年度新入生は,性教育で子宮頸がん予防を教わったり,実際にワクチンを受けたりなどしている影響か,子宮頸がん・HPVワクチン・子宮がん検診の認知度は増加した.しかし,子宮頸がん検診を身近な問題としてとらえられる工夫(ピア・エデュケーションなど)の試みなどが,実際の受診行動へ結びつくためには必要であると考えられ、また男性に対するアンケート結果から,女子大生の同世代の男性に対する情報提供も重要であると考えられた.

質疑応答:教育現場で,子宮頸がん予防の知識の伝達や教育者への教育は系統的になされているか?→教育要綱などには直接的な指導方法などの情報はなく,冊子などの資料を配布したりする程度.養護教諭や個別の教師が持つ情報量には差があり機会も均等ではない.しかし,HPVワクチンが定期接種化されるにあたり今後行政からの指導も変化していく可能性があるだろう.

 

6.ソーシャルネットワークサイトを用いた若年女性の子宮頸がん予防意識•行動調査と頸がん予防啓発活動に関する研究(代表研究者グループ:宮城悦子)

 子宮頸がん予防対策の上で重要となる若年者に対する情報発信方法はさまざまであるが,情報伝達手段としてのソーシャルネットワークサイトは,近年のインターネットの普及やSNS利用の活発化により,選択肢として重要な役割を果たす可能性がある.オーストラリアとの共同研究として,子宮頸がんに関するアンケートをウェブ上で行っている最中である.若年者に向けた子宮頸がん予防に対する調査の国際比較を行うことで,日本における若年者に向けた子宮頸がん予防の情報発信の課題を探る.